
隣の部屋にはマイペースな雰囲気のおばさん。
ポチッ、ポチッと手でひとつずつ、機械のへこんだ部分にボタンを並べている。
機械が回り、研磨針の下にきたときに、ギリギリって穴があいてボタンホールの完成。
おばさんは始終ニコニコ顔。
コンピュータ制御の機械で削りそこねた穴を直したり、ベルトのバックルとかサンプルのボタンとか、そんなイレギュラーものを一手に引き受けて、ちゃんとした製品に仕上げているのがこのおばさん。
横の棚には直径10cmぐらいのどぎついマーブル柄楕円形のプラスティック棒や、三日月形の棒が山積み。
ぜ〜んぶ、バックルになりそこねたものたちで、もう流行らない色だったりデザインだったり。
そうかなぁ?
おもしろいと思うんだけどな、チャルカはいらないけど。
おばさんの手元から目を上げた時、後の壁の写真に焦点があってニヤリ。
水着の美女の写真、数点。
事務所とか、ホテルの受付(うらびれた田舎のホテルに限る)など、色気とはおよそ関係なさそうなところにヌード写真が飾ってるのをよく見るもので、おもしろがって写真を集めている。
「おばちゃん〜ん、こっち向いて。ハイ、チーズ!」
でも、カメラのピントは後の水着写真。

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