ひょんなことで、ちょっとした怪我の功名で、いつも通っている生地屋さんのすぐ近くに新しい生地屋さんを発見。1階の間口は狭く、そそるものは見当たらなかった。「ひさしぶりやな」と社長。はじめてやのに。続いて「デオールの生地や」「イタリー製や」と解説がはじまり。二階にのぼり、三階にのぼっていくと、どうやら本物のデッドストックの気配。ビルの屋根裏のようなスペースに、ブラックホールのように生地を飲み込むスペースが。奥の方は真っ暗で見えない。そこからやっとこさひきぬいた一枚の布きれ。「こんな感じの生地、ほかにないですか?」「あんたら、ほんまに古い生地が好きなんやな、よっしゃこっちにもあるで」と案内されたのが、とにかく広い倉庫。これだけの生地をどうやって売るのかこちらが心配になるほど。端から端まであさり、「もっとほかにもないですか」としつこく聞く私たちをじっとみつめて社長がひとこと。「あんたら、フアイトウーマンやな。よっしゃ、わかった。ここにお弁当持って来たげるから、それを食べてからや」。ハンバーグランチをごちそうになってから、連れて行ってもらったのは、例の3階のブラックホール。ナイキエアを履いた社長が背よりも高く山積みされた反物にまず登って、電気をつける。続いて久保、そして藤山が登る。山登り、というか、ロッククライミングだ。岩山を登ると、目の前に開けて来たのは、天井に頭がつきそうなスペースにまた生地の山。生地の上を歩きながら、大根を抜くように生地を抜いた。これはお昼ご飯を食べてからでないと探す気力が出ない。結局、この店に3時間はいただろうか。帰りの地下鉄の中で、心地よい疲労感の久保と藤山。まさか生地を探しにいってこんなスポーツをするとは思わなかった。こうして集めた生地は、また次のファブリックシリーズとなる。

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